プログラムされた世界における自由意志

 

オラクルとの対話の中で、フォーション・ジャパンのメンバーが特に衝撃を受けたのは、自由意志に関する考え方でした。

『ユーザーイリュージョン―意識という幻想』(Tor Norretranders著)で、いわゆる「リベットの準備電位」のことを知って以来、私にとって自由意志は常に不可解なものでした。

 
ベンジャミン・リベット


簡潔に言うと、私たちが自由意志によって決定していると感じているものは、実はそのアクションを実行する前に「脳」が指令を下している、ということです。

わずかながら、その脳の指令を拒否できる時間帯が存在することも実験によって判明しており、「脳の決定を拒否することができる。だから人間には自由意志がある」と実験を行った当のリベットも自由意志について完全否定の立場を避けました。

これは決定論(運命論)に対する人類の揺らぐことのない拒絶反応であり、科学というよりは純粋に哲学的な主題が根底にあります。

この難解なテーマについて、本サマリーでは若干の考察を行いたいと思います。


偽りの自由意志と真の自由意志

 

オラクルの説明を聞く限り、私たちが生きているこの世界はプログラムされた世界であり、あらゆることが大枠で予め決定されています。

このサマリーでも、概念を簡略化するため、コンピューター・ゲームのアナロジーを使って説明しましょう。

典型的なRPGを想像してみてください。

世界を滅ぼす魔王がおり、それを勇者が倒しに向かう。その旅の中で、勇者は様々な登場人物やイベントに出会い、最後には魔王を倒す。

大枠でこういったシナリオが存在し、プレイヤーはそのプログラムされた世界の中で、キャラクターを操縦し、どんな武器を用い、どんな仲間とパーティを組むのか等、設定の範囲内ではある程度自由に「選択」することができます。しかしながら、特定の強制イベントからなる大筋のシナリオは初めから決定しているという構図です。

ゲームを使ったアナロジーに抵抗があれば、桃太郎でも、イソップ童話でも、なんでも構いません。要は、筋と結末が決まっていることがポイントになります。

これを私たちの日常に当てはめてみます。

何時に起き、朝食に何を食べ、どんな経路で会社に向かうか等、日常の中の細かな部分は「選択」が可能ですが、どんな職に就き、誰と結婚し、いつ亡くなるかなど、人生における大まかな流れは予め決まっている、ということのようです。

この「限られた範囲内での選択」を、仮に「偽りの自由意志」と呼ぶことにしましょう。プログラムされた世界での限定された見せかけの自由意志という意味です。


真の自由意志とはどんなものなのか?

 
これまで行われてきた科学実験によって、脳が意識に先んずるアクションの指示者であることが暗示されます。これは例によって、私たちの直感に反するものなので通常の概念では受け入れられない考え方です。

しかしながら、この世界がプログラムされたシナリオに沿って作動していなければ、カルマの法則も未来視も説明がつかず、成立しない、とも言えます。そもそも、この世界が大筋で運命論的なメカニズムを有していると前提することが、フォーションの世界観を理解する一歩となるのかもしれません。

小説『ドールマン・プロフェシー』の中で、オラクルの未来透視の目盛が、一日とか一週間、一ヶ月単位ではなく、おそらく最短でも数年後、通常で十年単位先となっていることが興味深く感じられます。言い換えるならば、オラクルは、例えば明日に或る人物がどんな行動的な選択を行うのかなどは視えず、数年先のシナリオ上の流れのようなものにアクセスすることができる、そんな風にも解釈できるのかもしれません。

真の自由意志とは何か、と定義するならば、それは魂の自由意志と言えるでしょう。

プログラムに束縛されない意志とも言えます。

究極的には、クォンタスムの助けの元、サヴァリン・インテグラルへと達し、ホログラムの外側に出ることが真の自由意志獲得のゴールとなるわけですが、なんだか遠大過ぎて、結局は何もできない、というのがオチです。

そんな状態を回避するためのアプローチとして、「ハートの美徳の実践」中のダイアグラムを参考にしながら、人間の意志と魂の意志の関係性を考えてみることが有効だと私は考えます。


「ハートの美徳の実践」では、二冊の本が存在し、一冊はエゴ・パーソナリティによって書かれたもので、もう一冊はハイアーセルフ(魂)によって書かれたものであると比喩的に説明されています。

フォーションの世界観に置き換えると、最初の本はプログラムされたものであり、コンピュータ用語的に言えば、AI(人工知能)によって半自動的に作動している、と捉えることができるでしょう。

オラクルの話では、通常はこのAIがプログラムに沿って活動しているのですが、このAIが停止したとき、魂が語りかけてくるのだそうです。

もっと具体的には、「メッセージは思考と思考の間に降りる」とオラクルは言いました。

通常の私たちは、マインドのおしゃべりで頭の中をいっぱいにしていますが、そのおしゃべりが止まるとき、魂意識へのアクセスが成されているとも言えるわけです。

(米国における専門家たちの調査で、「人間の思考内容は毎日85%以上、昨日と同じことだ」という結果が出ています)

このように考えると、瞑想ってシンプルなメソッドですが、やっぱり王道なんですね。

 



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